世界で過熱する電池投資合戦。何が日本の電池産業の未来を左右するのか。「リチウムイオン電池の父」に今後の展望を聞いた。
日本の電池産業は崖っぷち
――車載電池に巨大な需要が生まれています。
EV(電気自動車)化の大きな流れは間違いなく来ている。EV大国は中国だというイメージがあったかと思いますが、これからはEU(欧州連合)が追い抜き、世界をリードしていく。アメリカも、バイデン政権に代わったことで同じ方向に動いています。
一方、EV化という観点で日本の自動車業界を見ると、完全にガラパゴス状態です。かつては、エコカーといえばプリウスに象徴される日本のハイブリッド車(HV)でしたが、役目は十分に果たしたわけです。ここにしがみついていても仕方がない。このままいくと、日本の車は海外に輸出できなくなってしまいます。
国内にEV用電池のマーケットがほとんどないものだから、日本の電池産業は崖っぷちですよ。安全性などの品質の高さで差別化できる電池材料メーカーは海外(の電池や自動車メーカー)頼みでまだ戦えるけれど、パナソニックをはじめとした電池メーカーはかろうじて健闘している。
――日本の電池産業は「崖っぷち」からはい上がれるのでしょうか。
EVが主流になるまでのロードマップを考えると、競馬でいえば今はスタートを切ってまだ第1コーナーの一歩手前です。先頭を走っている必要はない。
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