
いちい・あきとし 1963年生まれ。86年早稲田大学商学部卒業、日本精工入社。2012年インド総支配人、16年経営企画本部長、17年取締役、19年代表執行役専務などを経て21年4月から現職。(撮影:尾形文繁)
ベアリング(軸受け)で国内最大手の日本精工。売上高の6〜7割を自動車向けが占めるが、ガソリンエンジン車が電気自動車(EV)に置き換えられることで、今後は1台当たりのベアリング数量が減少するとされる。中長期を見据え、どんな成長戦略を立てるか。2021年4月に就任した市井明俊社長に聞いた。
10年後、売上高に占める産業機械事業の比率
2021年3月期の産業機械事業の売上高比率は36%。成長が見込まれ収益性も高い同事業に注力、安定化を図る。
──自動車向け中心のポートフォリオからの転換を目指しています。
過去10年間は自動車事業にリソースを投入してきた。自動車の生産台数が増え、中国市場も成長しているという背景があったからだ。次の10年間は、コロナ禍の影響から徐々に回復していく段階で、その先には電動化がある。長い目で見れば自動車向けのベアリングがこれまで考えていたスピードで成長することはないだろう。電動化への対応に向け投資はしていくが、従来の製品については、今ある生産体制の効率を上げることで対応していく。
一方で、産業機械向けは収益性が安定しており、今後も自動化、IoT(モノのインターネット)、ロボット、環境というキーワードでいろいろなイノベーションが起きてくる。その成長を取り込んでいくため、リソースを自動車中心からシフトしたい。自動車も産業機械もベアリングの基本的な設計要求は変わらないので、人の異動はしやすい。うまくシナジーを出していきたい。
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