高度成長期の遺制を引きずる企業と労働者の関係を根本から見直す必要がある。
2040年に日本が今より豊かな国になるためにはどうすべきか。生活実感として雇用が安定しつつ、賃金も増えていく必要がある。日本が長らく停滞ムードを払拭できないのは、失業率は低くても非正規雇用拡大し、全体の賃金が増えなかったからだ。
その元凶は経済成長の低迷にある。1988年をピークに日本の潜在成長率は低下し、2000年代にはほぼ1%未満が定着した。10年代には女性や高齢者の参加で労働投入量の寄与はプラスに戻ったが、資本投入量や、何より全要素生産性(TFP)の寄与が落ちた。イノベーションの力が落ちていることを示す。
成長エンジンの役割を担うはずの企業の投資が不足している。98年から企業部門が恒常的に資金余剰となり、家計部門をしのぐほどの貯蓄超過にある。
「人口減少社会なので国内では成長が期待できない」と企業経営者はよく口にする。製造業大手は海外に工場を移転、海外企業のM&Aも行ってきた。しかし、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は「日本は人口が大きく減っているわけではない。高齢化など社会の需要構造の変化に対応した新たなビジネスができていないだけ」「海外投資といっても、かつての日本で成功した安価な大量生産のモデルをアジアで繰り返しているのが実態」と分析する。
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