自民党の長期政権が続く中、野党こそ「負担増」を国民に説くべきだ。
10月31日投開票の総選挙に際しては、与党も野党もばらまき的な公約を並べた。持続可能な日本を構築するため、国民に負担増を求める政党が政権を担うことは不可能なのか。「将来的には北欧型に近い社会に」が持論である立憲民主党の小川淳也・前衆議院議員と、政党政治の歴史に詳しい五百旗頭薫・東京大学大学院法学政治学研究科教授が日本政治の課題を探った(対談は10月12日にオンラインで実施)。
小川 長期的には、日本の最大の問題は人口減少と高齢化だ。年間40万人の人口が減っており、やがて年100万人減のペースになる。また高齢化率も29.1%(2021年)が40%にまで上昇し、そこで天井を打つ。この構造変化の激烈さを、多くの国民は理解しているだろうか。
人口減と高齢化を前提に社会の構造を大きく組み替えないと、財政危機、極端な円安、インフレなど多大な犠牲を払うハードランディングが避けられない可能性もある。
(日本が経験したハードランディングである)太平洋戦争の時代を振り返り、日中戦争や日米開戦といった不可逆的な危機を避け、ソフトランディングできる可能性はなかったのか、歴史のイフを考えることがある。今後の日本も、社会全体が持続可能性を回復しソフトランディングできるよう、政治家、政党はあらゆる不都合を包み隠さず国民に説明して、対話と説得に努めるべきだ。全体的な構造問題に触れずに、成長戦略や少子化対策といった単体だけを議論しても、国民が暮らしの不安から解放されることはない。
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