日米同盟は重要だが、日本の「不可欠性」を引き上げる努力が必要だ。
世界覇権を追求するかのような中国の台頭や、核兵器やミサイルの開発に集中し東アジアの安定をつねに脅かす北朝鮮の存在。米国と旧ソ連による冷戦の対立構造が残る東アジアで、日本は同盟国の米国との関係を基調とする外交を長らく行ってきた。その基調は今でも変わらない。
一方で、2040年を見据えて世界環境を想像すると、いつまでも冷戦的思考を残したまま、日本の外交を進めていっていいものか──。そんな疑問が湧いてくる。日本外交は、戦略のよい部分は残しながらも、新たな思考による時代に合わせた戦略の構築を急ぐ時期に来ている。
半世紀前の抑止論
北朝鮮のミサイル発射を例に挙げよう。北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党総書記は18年に「核実験とICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験はしない」と米国に約束したことに加え、経済状況の悪化とコロナ禍への対応に追われたのか、20年まではミサイル発射もなく静かだった。
ところが北朝鮮は、今年になってミサイル発射を再開、すでに中短距離ミサイルを8回発射した。いずれもICBMではないが、10月にはSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の実験も行っている。
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