大きな変革を迫られている出版社の雑誌ビジネス。今後必要な視点について、富士山マガジンサービスの西野伸一郎社長に聞いた。
出版社の雑誌ビジネスが大きな変革を迫られている。
出版科学研究所によると、2021年上半期(1~6月)の雑誌販売額は、前年同期比3%増の2759億円となった。
ただし、これは「鬼滅の刃」「呪術廻戦」(いずれも集英社)をはじめとした大ヒットコミックが統計分類上、「雑誌扱い」で計上されていることの底上げが大きい。定期刊行される週刊誌や月刊誌は下降線をたどりつづけている。2020年の1年間に休刊された雑誌は100近くを数える。
これからの雑誌ビジネスに必要な視点は何か。雑誌のオンライン書店を運営し、出版社のコンサルティングビジネスも手がける富士山マガジンサービスの西野伸一郎社長に、今後の出版社のあるべき姿や戦略を聞いた。
長期的に紙の雑誌は減っていく
――主力事業である個人や法人向けの雑誌定期購読サービスは、コロナ禍でどのように変わりましたか。
全体としてはプラスだ。
われわれの定期購読ビジネスの顧客は個人が7~8割、法人が2~3割となっている。巣ごもり需要で個人客が増加し、とくに緊急事態宣言で書店がクローズしているときに伸びた。その一方、美容室、(病院などの)待合室はクローズしていたので休止や解約があり、(前期比で)マイナスだった。
ジャンル別にみると、学習系のNHK語学講座は伸びたが、ファッション誌は減少した。休刊してしまう雑誌も含めると、長期的にみれば(紙の雑誌は)減っていく傾向にある。われわれは1万種類もの雑誌を扱っている。ロングテールと言われることもあるが、今は売り上げ上位10%の雑誌が90%の売り上げをつくっている。
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