書店最大手のカルチュア・コンビニエンス・クラブが「出版流通改革」に本腰を入れている。返品率を下げることで、書店と出版社がウィンウィンの関係を築くことを狙う。

「TSUTAYA」や「蔦屋書店」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブは、旧態依然とする出版業界の革命児となれるか(記者撮影)
2021年6月、書店最大手のカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の蔦屋書店カンパニーは全国の出版社を約150社集め、事業方針説明会を開いていた。
この日のテーマは、業界平均で40%、比較的良好なCCCでも35%にのぼる返品率を10%まで改善する施策だった。具体的には、AI(人工知能)に店舗の立地特性や商圏データ、ジャンルごとの販売情報などを読み込ませ、AIの予測を生かして発注することで、書店への配本数を適正化することだ。
返品率とは、書店が仕入れた書籍などのうち、売れ残って出版社に返品された割合を指す。書店による返品が減れば、出版社側は在庫評価損や倉庫代、返品手数料などのコストを圧縮できる。CCCはこうして捻出された利益の半分を、書店に還元する仕組みを構築するのが狙いだ。
返品率を17.5%に抑え込む
だが、CCCの提案に多くの出版社は首をかしげる。
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