紙の出版物市場は16年連続で前年割れを続けている。コミックスが牽引する出版社とそれ以外の出版社や取次、書店との「格差」も広がっている。
紙媒体が不況続きの出版業界において、大手出版社と取次(出版業界の卸売業者)・書店の間の格差が浮き彫りになっている。
「大手出版社は増益となっているようだが、書店はほぼ『蚊帳の外』だ」
ある首都圏の書店経営者はこう嘆く。
16年間で市場規模は半分以下に
出版科学研究所によると、紙の出版物の推定販売金額は2020年、1兆2237億円と16年連続で縮小し、ピーク時の半分以下に落ち込んだ。
大手書店チェーンである丸善CHIホールディングス(店舗・ネット販売事業)や紀伊國屋書店など書店大手の営業利益率は2020年度、コストに対して満足な収入を確保できず、1%にも満たなかった。1990年ごろのピーク時に2万店を上回った全国の書店数は2020年3月末に9242店となり、書店の減少トレンドは止まらない。
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