日本の伝統ものづくり企業はブランド価値創造に本腰を 早稲田大学ビジネススクール教授 長沢伸也氏に聞く

✎ 1〜 ✎ 311 ✎ 312 ✎ 313 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
ながさわ・しんや 1955年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。立命館大学経営学部教授等を経て、2003年から現職。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン寄附講座教授、仏ESSECビジネススクール、仏パリ政治学院客員教授等を歴任。著書に『ルイ・ヴィトンの法則』『シャネルの戦略』『グッチの戦略』ほか。(撮影:尾形文繁)
カルティエ 最強のブランド創造経営: 巨大ラグジュアリー複合企業「リシュモン」に学ぶ感性価値の高め方
カルティエ 最強のブランド創造経営: 巨大ラグジュアリー複合企業「リシュモン」に学ぶ感性価値の高め方(長沢伸也 著/東洋経済新報社/2640円/303ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
不況下でも強い欧州ラグジュアリーブランド。コロナ禍でしぼむどころか、高額品がしっかり稼いでいるという。元は同じ地場伝統のものづくり企業でありながら、欧州と日本でこの40年に差は開いた。日本の高品質ものづくり企業は、自らのブランド価値を再認識し、さらに高める努力をしてほしい、と編著者は力説する。

──きらびやかな欧州ブランドと日本の伝統的ものづくり、だいぶイメージに差がありますが。

欧州ブランドも元は街角の冴えないかばん屋とか山奥の工房だった。今は普通にラグジュアリーブランドと言っているけれど、その始まりはルイ・ヴィトンが東京、大阪に出店した1978年です。フランス国内に2店舗しかなかったルイ・ヴィトンが、極東の島国でモノグラムのバッグが大ヒットすることを発見し、2年後シャネルも日本に上陸。80年代バブル期を捉えて欧州ブランドが怒涛のごとく日本に押しかけてきた。彼らは自らの魅力を最大限打ち出して、今の地位を築きました。

一方日本では、後継者がいない、売り上げも厳しい、いい技術・製品を持ちながら経営難、という企業があまりにも多い。ラグジュアリーブランドと遜色ない技や伝統を持ちながら、「ルイ・ヴィトンなんて、私どもにはとてもとても」と皆さんへりくだる。でもそれは、彼らが上り詰めた現在地を見ているだけ。ラグジュアリーブランドになるために彼らが何をしたか、日本の企業にも見習ってほしいと思って書きました。

関連記事
トピックボードAD