──日本型生活保障は雇用中心。
自民党による利益誘導型政治は、結果的に雇用を軸とした生活保障として機能した。例えば公共事業や業界保護です。一時期は10人に1人が建設業で働いた。9万軒ある自動車整備工場の収入の4割が車検制度によるものです。利権という批判もあったし雇用は男性に偏ったが、稼ぐことで自尊心も保たれた。受け身のまま福祉漬けになるよりよかったのではないか。経済成長の果実が均霑(きんてん)する回路にもなった。ただ、時代の変化に対応できず雇用は劣化しています。
──社会民主主義が顔を出す。
世界的に、福祉国家は社民主義的立場から提起された。日本に強力な社民政党はなかったが、一定の政治的条件の下では社民的施策が浮上した。それを「例外状況の社会民主主義」と名付けました。非自民連立政権後の自社さ政権で介護保険制度ができ、2009〜12年の麻生政権〜民主党政権期に子ども・子育て支援制度、生活困窮者自立支援制度、税と社会保障の一体改革がまとまった。
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