リベラル復権に向けて連帯を求め孤立を恐れず 朝日新聞記者 石川智也氏に聞く

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いしかわ・ともや 1998年、朝日新聞社入社。社会部でメディアや教育、原発などを担当。特別報道部を経て、現在オピニオン編集部。この間、慶応大学SFC研究所上席所員、明治大学感染症情報分析センター客員研究員。共著に『それでも日本人は原発を選んだ』『住民投票の総て』など。(撮影:梅谷秀司)
さよなら朝日
さよなら朝日(石川智也 著/柏書房/1980円/295ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
野党の無策が安倍長期政権を可能としたのに、その責を「愚かな国民」に帰するエリート主義、自らに望ましい結果が出そうかどうかで、住民投票への賛否を変える二重基準──。朝日新聞に代表されるリベラル陣営の問題点を、朝日新聞記者が剔抉(てっけつ)した。

──タイトルにドキッとします。

基になった記事は朝日新聞社の言論サイト「論座」に掲載したものですし、著作権は朝日にあるので、書籍化に当たって加筆した部分はもちろん、タイトルも事前に会社は確認し、了解済みです。

読んでもらえれば「さよなら」は反語とわかる。2020年に評判になったドキュメンタリー『さよならテレビ』へのオマージュもある。圡方(ひじかた)宏史監督は、自分たちがかたくなに信じてきたものと一度決別しないと再生は難しい、という主旨の話をしている。私もリベラルの復権、再生を目指す考えで、本書はそのための自己検証の書。朝日を辞める気はありません。

──「朝日への挑戦状」とあります。

入社以来ほぼ社会部で、「論」を書くことはなかったが、18年に調査報道を手がける特別報道部に配属され、少し考える時間ができた。たまたま「論座」の編集部から原稿依頼が来て、改めて「論」とは何かを考えました。自分を主語にして、リスクを背負い、場合によっては朝日の社説とは違う考えも書くことを、リベラルとされる「朝日新聞」という器の中でやることが大事だと思った。たとえ社内少数派になっても、「連帯を求めて孤立を恐れず」に、用字用語など「多くの人に読まれる記事」の制約を取り払って書きました。所収の論考は、リベラルの抱える問題点が朝日の論陣にも色濃く刻まれているのではないかという観点から書いたものが中心です。

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