原子力マシーンでつながる福島とアフリカのガボン 社会人類学者 内山田 康氏に聞く

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うちやまだ・やすし 1955年生まれ。国際基督教大学卒業後、東京神学大学を中退しアフリカで働き、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスなどで学ぶ。2021年3月筑波大学教授を定年退官、長期のフィールドワークを優先するため再就職はせず。著書に『原子力の人類学』。(撮影:風間仁一郎)
放射能の人類学: ムナナのウラン鉱山を歩く
放射能の人類学: ムナナのウラン鉱山を歩く(内山田 康 著/青土社/2200円/248ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
今の福島には原子力災害の問題が集中する。が、これは福島固有の問題か。ウラン採掘から核廃棄物の最終処分までを、世界規模で数万年後まで持続する「原子力マシーン」と捉えれば、それは福島だけで完結しない。前著のマシーンを探る旅のメインは英仏の使用済み核燃料再処理工場、今回はガボンのウラン鉱山跡だ。

──原子力や放射能が人類学の対象になるとは意外でした。

私の人類学は地域研究ではなく、地域を超えた普遍的な問題を意識しています。現テーマのきっかけは津波。三陸での死者数が最多の石巻で、「人は津波について何を知っているのか」というテーマで参与観察をした。津波の場合、知識の蓄積もあるし、何が起きるかを身体を通して知覚することができます。原発事故は知覚の仕方が違う。ガイガーカウンターのような計測器や実験室がないと可視化できない。調査を通じ、私たちは放射能について知らないことがわかった。どうすれば知ることができるかが出発点です。

──世界各地に出かけます。

大きな問題が起きたら、関係する場所に行って多くの人から話を聞くのが基本です。歩く道が違えば見えるものも違うので、いろんな道を歩き、そこで会った人に話を聞くと多角的な見方ができるようになる。さらに、時々福島に戻って新たな知見の中に福島を置き直すと、隠れていたものが現れる。

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