──いろいろな人がいますね。
イチエフの現場は複雑かつ多様で、一人ひとりの立場、役割で見える風景が全然違うんです。プラント保守を手がける宇徳のオペレータ―は、4号機からの使用済み核燃料取り出しが終わっても、「達成感が得られなかった」。また、東芝のエンジニアは「後ろ向きの印象が付きまとう作業ゆえに、後ろを向いてはダメ」と言います。作業の多くが世界で初めてという状況の中、人々がどんな思いでどんな風景を見ているのかを知りたかったのだと書き終えて思います。
──中でも事故直後から福島にとどまり続ける経済産業省キャリア、木野正登さんは異色です。
木野さんは東大で原子力工学を学んだ技官です。11年3月20日に現地対策本部の広報班長に任じられてから、人事異動希望書には「一生、福島においてください」と書いて今日に至っている。国の当事者として福島に居続けるのはたいへんな仕事ですが、それを本人が希望し、実際にそうなっていることにはちょっと驚きます。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら