社会の公器たる上場企業が期待されるのは無軌道な金儲けではなく、おのずと求められる品格というものがあるはずだ。今、それを考えさせられる対立劇が進行している。
足かけ5年にもわたり東南アジアを舞台に壮絶な潰し合いを演じている2つの上場企業グループがある。藤澤信義氏率いるJトラストグループと、此下益司氏率いるAPFグループがそれらだ。「総帥」と呼んで差し支えない2人の代表はそれまで互いに本音をあけすけに語り合う蜜月関係にあった。が、APFグループで不正会計疑惑が持ち上がると関係は決裂、おびただしい数の係争案件が今なお各国で続いている。
両者はいずれも辺境から出現した異形の企業群といってよい。
現在51歳の藤澤氏は東京大学医学部の卒業だが、社会人としての振り出しはゲームセンター業界。その後、不動産担保ローン会社に転じ、そこの身売りを機に2005年、飛ぶ鳥を落とす勢いだったライブドアグループの幹部となった。粉飾事件によるグループ崩壊の中、藤澤氏は金融会社を手の内に収めて独立。親密企業群との資金循環で膨張を続けていた日本振興銀行に接近する。過払い金返還請求の嵐が吹く中、藤澤氏がとったのは逆張り戦略。ローン債権や青息吐息の貸金会社そのものを二束三文で買いあさったのである。
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