怪しげな巨額マネーに踊らされる経営者が後を絶たない。ある者は個人資産をだまし取られ、ある者は地位も名誉も失った。昨年明るみに出たのは外食大手の創業者だった。
「基幹産業育成資金」──。
4年前の某日、70代半ばの老紳士はそう呼んで巨額マネーの存在を滔々(とうとう)と説明した。聞き入っていたのは外食大手コロワイドの創業者である蔵人金男会長だ。場所は皇居を間近に望む東京・丸の内のオフィスビル1階の貸会議室。老紳士は「アジア経済協力会議所」なる一般社団法人の関係者を名乗っていた。同法人の50代と思(おぼ)しき代表理事は、老紳士のことを恭しく「先生」と呼んでいた。
老紳士の説明はこうだ。戦時中、日本には巨額の秘密財産があり、戦後は数兆円に上るそれを戦勝国が管理、老紳士は英国の窓口役を担い、特別な資格を持つ日本人経営者に対し返済の必要がない資金として提供している──。それが基幹産業育成資金なのだという。
あまりに突飛な話だが、蔵人氏はそれに魅入られた。同氏は外食業界随一のやり手だ。発祥は神奈川県逗子市の居酒屋。それが2000年代以降、買収戦略で業容を急拡大。回転ずし「かっぱ寿司」や焼き肉店「牛角」などを次々と傘下に収めたコロワイドは、今や業界4位の有力企業である。
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