オリンパス、カネボウ──。社会を揺るがした大規模な粉飾事件をめぐっては、責任の一端がありながら時効の壁の向こうへと逃げおおせた多くの経営者たちがいた。
昨年10月22日、足かけ9年にも及ぶ大型訴訟に最終審判が下された。
オリンパスの粉飾事件をめぐり、会社側が旧経営陣の責任を問うべく提起した民事訴訟──。最高裁が原告・被告双方の上告受理申し立てを退けたことで、菊川剛元会長兼社長ら3人に対し594億円もの損害賠償を命じた東京高裁判決は確定した。が、その陰で、釈然としない結果に終わった部分もある。刑事責任を問われなかった下山敏郎(2013年死去)、岸本正壽の両元社長に対する責任追及がそれだ。東京地裁が請求の一部、1億円の支払いを命じた一方、高裁は責任なしとの逆転判決を下していた。そんなねじれた経緯もあり、後味の悪さはなおさらだった。
11年秋に外国人社長の内部告発によって表面化したオリンパス事件は海外メディアも注目する国際的金融スキャンダルだった。旧経営陣は野村証券や外資系証券の出身者らの手を借り、長年にわたって1000億円を超える金融商品の含み損を隠蔽し続けていた。
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