ANA人事に透けるトップの焦り 非航空収入の倍増へ
コロナ禍で沈む航空事業を、新領域でどうカバーするのか。
コロナ禍でもがく航空最大手・ANAホールディングスが4月1日、役員体制を一新した。中でも注目を集めたのが、ほぼ無名の子会社「ANA X」の担当役員人事だ。
ANA Xは2016年に設立され、会員数約3700万人を誇る「ANAマイレージクラブ」の運営などを担っている。グループが航空需要の蒸発で巨額赤字に転落する見通しとなる中、非航空収入の拡大を担う中核企業へと躍り出た。
グループの上席執行役員に就任し、そのANA Xで社長を務めるのが、井上慎一氏(62)だ。
井上氏は三菱重工業を経て1990年、ANAに入社した。11年に同社が香港の投資ファンドとLCC(格安航空会社)のピーチ・アビエーションを立ち上げた際、CEO(最高経営責任者)として移籍。10年足らずでピーチを国内3位の航空会社に育てた。
実はこの井上氏、ピーチ時代にANA経営陣との距離を感じさせる場面があった。最たる例が17年、独立経営で成長してきたピーチに対し、ANAが出資比率を引き上げ子会社化すると発表した会見での一幕だ。
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