「転売ヤー」の増殖を誰も止められない事情 人気ゲーム機など高額転売はやりたい放題

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罵倒されても転売ヤーに売らないノジマ

こうした転売ヤーに対して明確に反対を打ち出す企業も出てきている。「リラックマ」や「すみっコぐらし」などの人気キャラクター商材を展開するサンエックスは2018年12月「悪質な転売につながるような行為について断固反対」として指針を表明した。

また、大手家電量販店のノジマは2021年1月に「転売撲滅宣言」を出した。メーカーや小売店が転売に対する反対姿勢を表明するのは、本当に欲しい消費者の手元に商品が十分に届いていないという問題意識があるからだ。ノジマではゲーム機などで購入履歴から転売目的とみられるお客には、店頭での販売を断っている。そうした場合、「『法律で禁止されていないのになぜノジマが決めたことに従わないといけないのか』と店舗のスタッフが罵倒されることもしばしばある」(ノジマ・ゲームMD担当者)という。

メーカーや小売店だけでなく2次流通のプラットフォーム側も対策に乗り出す構えを示している。だが、不当な転売をどう位置づけるかが難しく、高額転売についての対応に大きな差はない。

前出の転売ヤーの男性によれば、コロナ禍による金銭的な不安から、転売初心者から「どうすれば儲けられるのか」といった問い合わせが例年の5倍近くあったという。高額転売をもくろむ人たちが増えると、標的になる商材が拡大し、欲しい商品が手に入らないと不満を募らす人が一段と増える。この循環が止められそうな気配はない。

菊地 悠人 東洋経済 記者

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きくち ゆうと / Yuto Kikuchi

早稲田大学卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者を経て2017年10月から東洋経済オンライン編集部。2020年7月よりIT・ゲーム業界の担当記者に。

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