「転売ヤー」の増殖を誰も止められない事情 人気ゲーム機など高額転売はやりたい放題

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転売に法的な規制はなし

前出の転売ヤーはプロ中のプロだが、個人間における転売が身近になったのはフリマサイトが台頭してからだろう。国内最大手である「メルカリ」のサービス開始は2013年7月。自分が要らなくなった不要品を出品者として売りに出し、それを別の利用者が買うのは昔からあるフリーマーケットと同じだが、スマートフォンで簡単に売買できる手軽さから2次流通のプラットフォームは急速に成長した。経済産業省の推計では2018年のフリマアプリの市場規模は約6400億円。2016年比で2倍以上に拡大している。

健全な出品者と購入者のやり取りが大半を占める一方、転売ヤーたちが入手困難な商品を買い集め、フリマサイトなどで高値で出品する事例も目立つようになった。そして、昨年に社会問題化したのが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うマスクやアルコール消毒液などの衛生用品の高額転売だった。

店頭販売のマスクが瞬間蒸発する中、ネットでは転売が横行し販売価格が通常の100倍以上に高騰した事例もあった。このため、国民生活安定緊急措置法により2020年3月に衛生用品の転売が禁止された(同年8月に規制解除)。

また、コロナを背景に巣ごもり消費でにわかに需要が高まったのがゲーム機だった。スイッチは2020年4~5月にネット上での売買価格が跳ね上がっている(詳しくは、連載第3回「スイッチ」の異常な転売価格と「PS5」高騰の必然)。エンタメ関連では、映画が日本歴代興行収入で1位となるなど一大ブームを巻き起こした「鬼滅の刃」が典型だ。関連商品や映画の限定特典などあらゆるものが転売の標的になった。

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