「転売ヤー」の増殖を誰も止められない事情 人気ゲーム機など高額転売はやりたい放題

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法律で転売が禁止されている興行チケットやフリマサイト側が出品禁止物とする衛生用品、販売免許が必要な医薬品などを除けば、ネット上の転売に法的な規制はない。そのため、ルールを設けてどこまで出品を制限するかは、オークションやフリマサイト側の判断にゆだねられている。

PS5の場合、2020年11月の発売直後からフリマサイトのメルカリへの高額出品が続出。100台900万円という抽選販売ではありえない出品も報じられたことから、販売元のソニーがPS5の転売防止と協力を求めたが、メルカリ側は出品禁止などの個別対応は行っていない(詳しくは、連載第2回「メルカリ、ヤフオクが高額転売を「禁止」しない理由)。

「ゲーム機の転売は、法律で規制されていないからやっている。世の中のものは(仕入れて、別のところに売る)転売で成り立っているわけだし。自分たちはこれ(転売)で経済が回っているのだから、突っ走るしかない。マスクやチケットのように法規制が入れば、ほかの商材を転売する」(前出の転売ヤー)。

消費者の声を受けて付録の見直しも

こうした転売ヤーに対し消費者からは不満や対策を求める声が上がっている。「ゲーム機やエンタメグッズは生活必需品ではないし興味ない人から見ればどうでもよいのかもしれない。ただ、欲しい商品が欲しい人の手元に行き渡らないことについて、何か対策が必要ではないか」(20代男性)。

転売ヤーの買い占めで予定していた企画の中止を余儀なくされるケースもある。ある女性誌を刊行する出版社の担当者は「『雑誌の付録がフリマサイトで転売されているのを対策してほしい』『購入できず非常に残念だった』など数多くの意見が寄せられ、予定していた宣伝物の中止・差し替えを行う事態となっている。お客が一度購入したものを強制的に禁止する法的根拠がないので対策が難しい」と悩みを打ち明ける。

女性向けのファッション雑誌では雑誌の付録に有名ブランドとコラボした限定アイテムを同梱して発売することが多い。「転売不可」と明記していても、雑誌の付録だけをオークションやフリマサイトに出品される事例が後を絶たない。

店頭から瞬く間になくなった「CanCam」の2021年3月号。左写真の雑誌と付録は編集部が店頭で購入。付録には「分売不可」「転売不可」の表示があるがフリマサイトで大量出品(編集部撮影)

例えば、「CanCam」の2021年3月号(850円)に同梱されたドラえもんとGUCCIの「コラボノート」がそうだった。「発売翌日に近所の書店に問い合わせてもどこも売り切れ。それなのに、フリマサイトでは付録だけが大量に出品されている。1冊2000円。悔しいから買わなかった」(40代女性)という。

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