退廃的で何かに依存する人々の姿を描いた
――まずは『ストロングゼロ』を執筆した経緯を教えてください。
6年間住んだフランスから2年前に帰国して以来、日本人とお酒の関係をすごく特殊に感じてきました。仕事においてもお酒が関わってくる飲み会文化があったり、お酒に酔って人前で醜態をさらすことが日常化していたりする。フランスではあまり見ない光景が、数年ぶりに見たときにすごく印象的でした。
日本はコンビニがどこにでもあって、しかも24時間営業なのでいつでもお酒が買えます。これだけ誘惑が多いと、多少自制心があっても阻まれる。自分を甘やかすことのできる環境になっています。
ストロング系は飲んでいる層が若く、ほかのアルコール飲料よりもいろいろな層に広がっていると実感しました。自分自身も飲んでいたし、外でも日常的に目につくようになった。電車の中やコンビニの駐車場で飲んでいる人もいて、とても退廃的で興味深く感じていました。そこで、何かに依存する人々というテーマで書いてみたいと思ったんです。
――作中では主人公のミナがコンビニのアイスコーヒー用の氷入りカップに「ストロング」を入れて、社内でストローを使って堂々と飲むシーンがあります。「何飲んでるのと聞かれたらレモネードか炭酸水と言えばいいのだ」と妙にリアルです。
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