「機関投資家は議決権を直接行使すべき」 インタビュー④/東京大学教授 田中亘

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たなか・わたる/1996年東京大学法学部卒業、同大学院法学政治学研究科助手。1999年成蹊大学法学部専任講師、2002年同助教授。2007年同准教授、東京大学社会科学研究科准教授を経て2015年4月より教授。『会社法』(東京大学出版会)、『企業買収と防衛策』(商事法務)など著書多数。

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三井住友信託銀行やみずほ信託銀行が行っていた議決権の集計に不備があったことが明らかになった。専門家の目にはこの問題はどう映ったのか。
インタビュー4人目は、会社法に詳しい田中亘・東京大学教授。議決権行使の電子化が進んでいないことが問題だと指摘した。

違反があれば賛否に関係なく決議は取り消し

――株主総会前日に配達された議決権行使書で、実際には届いているにもかかわらず、翌日扱いとして集計から外すことが20年近く続いていました。今回の事態をどう見ていますか。

信託銀行がああいった取り扱いをしていたことは知らず、衝撃を受けた。会社法上、投票期限は会社が決定して、招集通知に記載すればよい。投票期間は招集通知の発送から2週間あればよく、集計が間に合わないのであれば、株主総会前日よりも前に(議決権行使の)期限を設定できる。

しかし、招集通知に株主総会前日が期限と記載している以上、前日に届いた議決権行使書はカウントしなければいけない。

――三井住友信託銀行とみずほ信託は、調査した過去3カ月の株主総会に関して「賛否には影響がなかった」と強調しています。

結果に影響がなかったから問題ない、ということではない。株主総会決議の方法に法令違反があれば、決議が取り消されるというのが原則だ。

今回のカウントミスは法令違反なので、これ自体が(決議の)取消事由にはなる。ただし、法令違反であっても瑕疵が重大ではなく、決議結果に影響がなければ、裁判所が裁量で棄却する可能性が高い。

――重大な瑕疵とは、具体的にはどういうケースですか。

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