
松本大社長は「相手が株主だと『会いたくない』と言う経営者が多い」と指摘した(記者撮影)
信託銀行が顧客から受託していた議決権行使書の集計業務で、郵送された議決権書の一部がカウントされていなかった問題を専門家はどう見ているのか。
インタビューの1人目は、創業者として20年以上にわたって企業のトップを務め、直近では「アクティビストファンド」のマネージャーとしても活動するマネックスグループの松本大社長。
今回の一件について「悪意があったとは思わない」とする一方で、「信託銀行の姿勢には問題を感じていた」と切り出した。そして、株主総会運営における大胆な法改正のアイデアも語った。
私はアドバイスを無視して自由にやっている
――三井住友信託銀行やみずほ信託銀行が議決権の一部を集計していなかったということが明らかになりました。この件をどう見ていますか。
実際には株主総会の前日に議決権行使書が到着していたのだから、「株主の大切な議決権なんだからちゃんと数えよう」という発想を持ってほしかった。
けれども、私はそこ(総会前日の到着分を集計しなかったこと)に悪意があったとは思わない。信託銀行としては、あくまで総会に間に合わせるためにちゃんとカウントしようとしていたと解釈している。
今回のことで信託銀行への信頼が大きく低下したとは思わない。一方で、株主総会に対する信託銀行の姿勢には問題を感じていた。
――どういった問題でしょうか。
株主総会へ向けて、信託銀行とリハーサルをやるのだが、彼らからは「質疑応答を早めに切り上げてください」とアドバイスを受ける。
私は創業社長でこれまで20回以上の株主総会をやってきた経験があるので、リハーサルでは「はい、はい」と聞き流して、当日はアドバイスを無視して自由にやっている。
だが、通常の社長はアドバイス通りに総会の質問を早めに切り上げようとしてもおかしくない。
――日本の経営者は株主との対話にあまり積極的ではありません。その背景には信託銀行の指導があるということですか。
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