中国の大手自動車メーカーの間で、新エネルギー車の高級ブランドを新設する動きが相次いでいる。北京汽車集団はカナダの自動車部品大手のマグナ・インターナショナルと共同で新ブランド「ARCFOX」を立ち上げた。東風汽車集団も7月に新ブランド「嵐図」の立ち上げを発表した。上海汽車もそれに続く。
背景には米EV(電気自動車)大手、テスラの成功にあやかりたいとの思惑がある。テスラは2019年10月から主力車種「モデル3」の現地生産を開始。20年1月の納車開始からわずか半年余りで、中国市場のEVのメーカー別販売台数でトップに立った。
新興かつ純粋なEVブランドであるテスラの躍進は、自社ブランドのガソリン車とEVの競合に悩んでいた中国大手メーカーに強い刺激を与えた。ある中国の新興EVメーカーの幹部によれば、既存の自動車大手はEV専用の新ブランドを用意しなければ、ガソリン車で築いたブランドの評価まで落としてしまうリスクがあるという。同じ車格のEVとガソリン車を比べた場合、電池のコストが高いぶん価格はEVのほうが数万元(1元=約16円)高くなってしまう。そんなEVとガソリン車が同一ブランドで同じショールームに並んでいたら、消費者は価格差を受け入れがたいのはもちろん、ブランドに対しても好印象を抱かないからだ。
(財新記者:安麗敏、原文の配信は10月12日)
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