かゆいところに手が届くサービスが可能に
――あまり実感が湧かないのですが、スマートシティは従来の街と何が違うのでしょうか。
一言でいえば、「利便性と環境性に優れた街」ということだ。都市のオペレーティングシステム(OS)をつくってサービスを提供する。街のあちこちに設置したカメラやセンサーなどのデバイスから都市の情報を収集し、交通・移動データや購買・消費データを集積し、互換性のあるデータに変換するのが都市OSだ。これをAIで分析してさまざまなソリューションにつなげる。
サービスとしては例えば、オンデマンドバス(利用者の予約に応じて行きたい場所に移動できるバス)、病院とネットでつなぐ遠隔医療が考えられる。飲食店のデリバリーの予約から自宅の電気代支払いまで、専用アプリで何でも済ますという構想もある。
住民に同意いただいたうえで購買・消費データなどを収集し、それを活用することで、かゆいところに手の届くようなサービスを打ち出していけるだろう。
――垣内威彦社長もスマートシティ開発の必要性を強調しています。
スマートシティを含めた大規模開発には2つの切り口がある。街をつくって売却したり、賃料収入を得ること。もう1つが街の運営だ。
垣内社長からは、「街の中でリテール(小売り)やモビリティ、エネルギーといった分野のサービスを提供していくことに注力してほしい」と言われている。
三菱商事には強い事業や付加価値を提供できるグループ会社がたくさんあるので、垣内社長は「(各グループで力を結集して伸ばしていける)複合都市開発は面白いんじゃないか」と言っている。
スマートシティ開発は、総合商社の総合力や各産業との”接地面積”の広さという強みを生かせるビジネスだと思っている。各グループの壁を低くして横串を刺すことで、しっかり展開していきたい。
――具体的に、どのような国々でスマートシティ開発を進めていくのでしょうか。
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