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トランプ党になった米共和党 世界を覆うカルト政治の害悪

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米共和党の全国大会はいろいろな意味でスキャンダラスだった。法と慣例に反してホワイトハウスを会場にしただけではない。トランプ大統領を持ち上げる数々の安っぽい演出により、共和党がトランプ党に成り下がったことがはっきりした。だが、それにも増してあきれるのは、政策方針が何も示されなかったことだ。トランプ氏の「アメリカファースト」を熱烈に支持することだけが共和党の党是となった観がある。

これは米国の分断が別次元に突入し、2大政党の少なくとも一方が政党としての役割を放棄したことを意味する。民主主義国における政党の基本的な役割は、有権者に選択肢を示し、政策論争の大枠を形づくることにある。政党であるからには自らの政策的立ち位置を鮮明にしたうえで、人々に支持を訴えなくてはならない。

民主主義は、あらゆる問題について合意を目指すためにあるのではない。その目的は、相反する利益や大義にうまく折り合いをつけることにある。したがって政治家が対抗勢力に公然と憎悪のレッテルを貼り、その正当性をおとしめようとすれば、民主主義は危機に瀕する。こうした卑劣な戦術を得意とするのが右派の扇動政治家であり、彼らは文化的な対立をあおることで政策論争を帰属の問題に矮小化してきた。トランプ氏が自らに批判的な勢力を「反米」と呼んで中傷し続けているのがいい例だ。

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