コロナ禍の中、日本の感染・死亡者数は例外的に低い水準に抑えられている。しかし米国やスウェーデンの経験を見る限り、日本経済の回復には現在考えられている以上に長い時間がかかるかもしれない。理由は2つある。
第1は外需の落ち込みだ。日本経済にとって輸出の貢献は無視できない。ところがコロナ禍となる以前から輸出はすでに減少に転じていた。輸出額は2018年に天井となり、19年に5.6%減と3年ぶりの減少を記録。今年上半期には前年同期比で15.4%減と、減少幅が急激に広がった。
アジア向け輸出の落ち込みが比較的小幅にとどまっている点(中国向けは3.6%減)は明るい材料に見えるかもしれないが、事はそれほど単純ではない。日本のアジア向け輸出の大半は機械設備や部品で、これらは最終的にアジアから米欧に輸出される製品の製造に使われる。日本の中国向け輸出は中国経済そのものより、中国の米欧向け輸出に大きく左右される。過去20年間についていうと、日本の中国向け輸出と中国の米国向け輸出との間には72%という高い相関関係が存在した。外需の世界的な落ち込みから輸出の回復が遅れれば、日本企業の投資支出にも悪影響が広がることになる。
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