「生活保護を申請するには、まず無料の宿泊施設に入っていただきます。部屋の中にいくつか2段ベッドがあるので、そこで共同生活をしてもらいます」
派遣切りに遭い、社員寮からも追い出された神奈川県内の男性Aさん(40代)は5月初め、生活保護の利用について地元自治体に相談した。新型コロナウイルスの感染拡大の真っただ中にもかかわらず、自治体職員から申請の“条件”として提示されたのは「相部屋施設への入居」だったという。
感染防止には人一倍気をつけていたAさん。職員に「そんなところに入るくらいなら、(申請は)やめます」と伝え、この日は同県が開放していた県立武道館に身を寄せた。一方で事態は切迫しつつあった。いくら求人に応募しても面接さえ受けられない。所持金もついに10万円を切った。
金が欲しければ感染リスクを負え──。申請者の命を軽んじるかのような条件に困り果て、民間の支援団体に相談したところ、支援者同行の下、改めて生活保護を申請することになった。支援者が窓口で、国が個室利用を進める方針を示しているはずだと指摘すると、ビジネスホテルに宿泊しながらの申請がようやく認められたという。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら