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国民の社会生活に介入する新たな規制国家への対処法 コロナ問題の長期化で規制強化と「大きな政府」への路線転換は動かしがたい流れに

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新型コロナ問題を受け、教育のあり方も見直し機運が高まるか(読売新聞/アフロ)

5月4日に緊急事態宣言の延長、14日に一部解除が正式に決定された。4月には感染爆発が目前と思われたが、そうした危機は確かに遠のきつつある。

一方、自粛を強いられた各層への支出金はさまざまな形で拡充された。国家の財政規模はしだいに拡大しつつある。また、休業要請という施策は、欧米諸国のロックダウン(都市封鎖)ほどではないにしても、「自粛警察」のような社会統制と相まって、強制力を伴わない指示でありながら強力に発揮された。しかも出入国の渡航は制限されたままである。どうやら、国家の権限は感染拡大前と比べて、格段に強化されている。

グローバル化の中で新保守主義によって市場の調整に任せる規制緩和と「小さな政府」という路線が、グローバル化を押しとどめる国家による規制強化と「大きな政府」へと転換しつつある。その傾向が日本だけではなく、先進諸国で広く見られている。

もちろん、感染の終息が早期であれば、あっという間に元に戻り、こうした転換は何事もなかったかのように忘れられるであろう。だが、先に感染が終息したかに見えた中国や韓国で新しい感染増が起こっているように、そう遠くないうちに第2波、第3波が到来すると考えるのが自然である。長期にわたって新型コロナウイルス感染症と向き合わなければならないとすれば、この路線転換は動かしがたい流れとなるだろう。

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