厳しい情報統制をかいくぐり、未曾有の事故現場を徹底取材 東京新聞記者 片山夏子氏に聞く

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かたやま・なつこ 大学卒業後、化粧品会社の営業、ニートを経て埼玉新聞で主に埼玉県警の取材を担当。中日新聞社入社後、東日本大震災翌日から東京電力などを取材。同年8月から主に作業員の取材を担当。連載記事「ふくしま作業員日誌」が「むのたけじ地域・民衆ジャーナリズム賞」大賞受賞。(撮影:梅谷秀司)
ふくしま原発作業員日誌 イチエフの真実、9年間の記録
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東京新聞(中日新聞社東京本社刊)に「ふくしま作業員日誌」という不定期の連載コーナーがある。2011年8月19日にスタートし、現在までに掲載の回数は120回を超えた。その連載記事を転載しつつ東京電力・福島第一原子力発電所事故の収束・廃炉作業に従事した作業員への9年にわたる取材を基に書き下ろした。

作業員への取材を通じて、原発事故の核心部分に迫る

──東電の公式発表では明らかにされない、作業員の使い捨て、被曝隠しなど事故現場の実態がよくわかります。また、過酷な現場で働く作業員の労苦や責任感、家族への思いなどが詰まっています。

読者の皆さんは原発の話としてだけでなく、いろいろな読み方をしてくださっているようです。16年ごろに作業員の間でも『ポケモンGO』が流行したとき、手に入れたポケモンを久しぶりの帰宅で息子に見せたところ、「パパ嫌い」となつかなかった息子が、帰るたびに飛んでくるようになったと聞き、原稿を書きました。そうした話が心に残ったという方がいました。先の見えない避難生活や仕事への不安で、子どもに当たってしまった作業員の告白を読み、身につまされたとの感想もありました。

──現在まで一貫して現場取材を続ける記者はほとんどいません。取材ではどんな困難が?

作業員への取材を始めたのは、事故発生から4カ月以上が過ぎた11年8月。中日新聞社の東京社会部で福島の作業員をフォローする担当となり、当時、多くの作業員の宿泊先があった福島県いわき市に向かいました。警察担当が長く、おまえは初対面の人に声をかけるのが得意だろうということで、担当に。ただ、その頃にはすでに東電やゼネコンが厳しい箝口令を敷いていたので、取材は困難を極めました。

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