──政治家のうそを「必死の嘘」と「横着な嘘」に分類していますね。
絶対的権力にはうそは要らない。それなりの野党や異議申し立てがあるからこそ、うそが必要になる。見抜かれまいと政治家が懸命に隠すためのうそが「必死の嘘」。うそを語る政治家に権勢があったり、支持する人が多かったりしてまかり通ってしまうのが「横着な嘘」だ。
横着な嘘が横行すると政治についてまじめに議論する気分が社会から消えてしまい、シニシズム(冷笑主義)が蔓延する。最近の日本では政治家の言葉が雑になってきた。保革対立は不毛だったかもしれないが、その対立軸すらなくなってからは、ただのごまかしだけになった。
自分についてきてくれる人をまとめることが政治のプロの条件になって、その外にいる広大な無党派層を説得しようとはしていない。
──現在の日本では、横着な嘘の弊害が大きく出ているようです。
首相官邸主導が強まる中で官僚制の自律性がかなり侵害されている。各省庁の意見を聞かないから情報も入らない。官邸のスタッフが少ない人数で膨大な案件をこなしているので、人の意見を十分聞く余裕もないだろう。
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