民法改正による影響を大きく受けるのかどうか注目されているのが、IT業界だ。ポイントは瑕疵(かし)担保責任が契約不適合責任に変更になることに伴う、期間制限の起算点の変更にある。
実際にどう変わる可能性があるのだろうか。IT業界における請負契約のケースで見てみよう。
システム開発契約において、改正前の瑕疵担保責任の考え方では、売買の買い主が「瑕疵の事実を知った時」から1年以内に請求し、請負の場合は目的物の「引渡し」から1年以内に請求しなければならなかった。
契約不適合責任では、売買・請負とも、不適合を知ったときから1年以内に相手方に通知をすることが要件となった。売買と請負で期間制限を異にする理由はないというのが改正理由である。
ベンダーの責任が増す?
どちらも「1年」であるが、起算点が「引渡し」と「不適合を知った時」では、大きく異なる。
システムのリリース後、数年してから開発段階における潜在不良が発覚するのはよくあることだ。改正前の民法に従えば、瑕疵担保責任の対象にはならなかったが、改正法に従えば、契約不適合責任の対象となる。改正法をそのまま適用すると、ベンダーが責任を負う期間は長くなってしまうのだ。
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