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相続税をめぐって激化する国税と富裕層の飽くなき戦い 金持ちに狙いを定めて徴税強化

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(撮影:梅谷秀司)

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昨春、ある富裕層の男性一家が、羽田空港に降り立った。日本の土を踏むのは、実に4年ぶりのこと。一家そろってシンガポールに移住。その間、一度も日本には帰国していなかった。

この男性が保有する資産規模は、100億円超。親から受け継いだ資産に加え、起業した会社を上場させ、一気に資産が膨らんだ“超富裕層”だ。一家はなぜ移住し、しばらく帰国しなかったのか。それはずばり、「相続税を払いたくない」と考えていたからだ。

日本は、相続税が世界的に見ても高い。税率は10~55%で、相続した金額が高くなればなるほど高くなる。3億円以上相続した場合、半分以上を持っていかれる。

そこで富裕層の間ではやったのが、いわゆる「資産フライト」だ。簡単に言えば、相続税がない、もしくは税率が低い国に資産を移転させ、相続税をゼロにする、もしくは軽減するというものだ。

中でも、シンガポールは人気が高かった。相続税や贈与税がなく、所得税や法人税の最高税率も低いためだ。しかも同じアジアの中では都会で、日本人にもなじみやすい。富裕層仲間から話を聞いたこの男性は、迷うことなくシンガポールへの移住を決断したという。

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