国内1・2位が資本業務提携へ。長年必要性が叫ばれた再編がついに始まったが、打開策は見えない。
「日本に造船業が残れるか。本当の瀬戸際だということだ」。ある造船会社の幹部は何度も繰り返した。
2019年の年末、業界を揺るがすニュースが相次いだ。まず11月29日、国内1位の今治造船と2位のジャパン マリンユナイテッド(JMU)が資本業務提携に踏み切ると発表した。LNG(液化天然ガス)運搬船を除く大型商船について、共同で営業・設計を行う新会社を設立したうえで、今治造船がJMUに出資する方向で手続きを進めている。
さらに、12月18日に今度は4位の三菱重工業が長崎造船所香焼(こうやぎ)工場について売却を含めた検討を始めると発表した。相手は3位の大島造船所。国内造船1~4位が一度に動き、業界再編の歯車が回り出した。
業界を悩ませ、再編へ駆り立てているのは、深刻な「船余り」だ。
これは、08年のリーマンショック直前に受注・生産開始した船が大量に出回っていることが原因だ。建造に数年かかる大型商船はリーマンショック後も高水準での建造が続き、11年には世界の建造量が1億総トンを超えた。だが、その後新造船への需要は増えないまま、現在ではピーク時の半分程度の約5000万総㌧にとどまっている。
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