金融リテラシーの向上、プラスの影響だけ? 望ましい金融教育や介入のあり方について議論が必要

✎ 1〜 ✎ 53 ✎ 54 ✎ 55 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

突然だが、次の3つのクイズに○または×で答えてみてほしい。

問1:資産を1つの企業にまとめて投資するより、複数の企業に分散して投資したほうが安全に収益を得られる

問2:住宅借り入れにおいて、15年ローンは30年ローンに比べると月々の支払いは多いが、返済期間中の総金利支払額は少ない

問3:金利が上がると、債券の価格は通常上昇する

これらのクイズは、金融に関する知識や判断力、いわゆる「金融リテラシー」を問うものである。問1は分散投資に関する質問で答えは○、問2は住宅ローン支払いに関する質問で答えは○、問3は金利と債券価格に関する質問で答えは×だ。

問1・問2は比較的易しく、後述の筆者を含む研究チームの調査では、正答率が65%弱であった。問3は比較的難しく約33%の人しか正解できなかった。

こうした金融リテラシーの向上は、おおむねよいものとして捉えられる。ところが筆者らが行った研究では、金融リテラシーが高いと、むしろ過剰な借金やリスクの高い投機的投資が増えるということがわかった。いったいなぜだろうか。

関連記事
トピックボードAD