──「わたしの」「お気に入りのコートの」で始まって、奇想天外な世界が繰り広げられます。前ページの最後の「の」が、次はどんな時空へつながるのかまったく予測不能。「の」という単語の無限パワーを見せつけられました。
最初に「の」の面白さに気づいたとき、これは本になるなと思いました。本の構成として最初は、お気に入りのコートの、ポケットの中の、とわかりやすく入って、ポケットの中から、ありえない世界へ話がブワッと動き出す。
「の」に着目したきっかけは、うちの奥さんが昔買った日本独特なもろもろを紹介する本でした。パラパラ見てたら、「の」という言葉は日本語でしか表現できないという話があったんです。確かに「の」って日常のあらゆる場面でたくさん使ってますよね。所有格だけじゃない日本語ならではの“含み”みたいなものもフォローする。でも文章書くときは何々の何々の何々のって続くのは美しくないと避ける。それを逆に続けてみたら面白いなと思ったんです。途切れない。逆にどうやって終わろうみたいなことを考えるぐらい、どんどんどんどん永遠にバトンタッチされていくみたいな感じ。しかもそのバトンタッチされた先が、物であっても空想であってもどんな突飛な世界であっても、いとも簡単に「の」がつないでしまう。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら