日本以上に格差拡大が進行、韓国の苛烈な資本主義 ジャーナリスト 金 敬哲氏に聞く

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キム・キョンチョル 韓国ソウル生まれ。韓国・淑明女子大学経営学部卒業。上智大学文学部新聞学科修士課程修了。東京新聞ソウル支局記者などを経て、現在はソウルにてフリーランスで活動。映画制作・配信会社のコンサルタントも務める。共著に『かならず使える韓国語』など。(撮影:尾形文繁)
慰安婦・徴用工問題など、いつも日本に厳しい視線を送る韓国。その国内は新自由主義の弊害が拡大・浸透し、子どもから高齢者まで誰もが激しい競争にさらされ、日韓関係以上に殺伐とした状況になっている。原因となった「行き過ぎた資本主義」とは。

40歳代で早くもリストラ、後は戦慄の起承転“チキン”

──「ヘル朝鮮」「N放(ポ)世代」「スプーン階級論」……。最近の流行語がふんだんに紹介され、韓国社会の今を描写しています。50歳代の男性を指す「起承転チキン」の語感に笑ってしまいましたが、その意味を知って背筋が凍りました。

中年男性の人生を表した言葉で、学歴・就職先がどうであれ、人生の終着駅がフライドチキン店のオーナーだという意味です。韓国では世界的なフランチャイズチェーンを含めて、チキン店が目につきます。実際に、2014年から18年までに年平均約6800のチキン店が開業し、約8600が廃業したという調査結果もあります。違う意味のチキンゲームが繰り広げられています。

──なぜ中年男性はチキン店の開業に行き着くのでしょうか。

韓国企業の定年は60歳ですが、日本でいう年功序列のような職級や序列制度は瓦解中です。40歳代で成果を出せないとリストラの対象になり、その会社に残れません。どうせ退職するならばいっそのこと自営業をと考え、参入が手っ取り早い外食、とくにチキン店を開業する中年男性が多いのです。でも、現状は先に示したように、決して幸福な終着駅に誰もがたどり着けるわけではありません。

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