──その類似性に驚きますが、どうやって気づいたのですか。
もともと昔の新聞なんかを読むのが好きで、よくいわれる「昔はよかった」と事実とのギャップを感じていました。戦前のマナー、モラルをテーマにした本を書く際、最初は分野を定めずに幅広く資料を集めたところ、現在と同じような議論があるとわかりました。例えば、1915(大正4)年に東京の小学校で教員が3年生の児童に体罰を振るい負傷させました。親が告訴し裁判で争われましたが、並行して、現場の教師、元文部官僚から歌人の与謝野晶子まで、さまざまな人が体罰肯定、否定の意見を述べるといった具合です。
──なぜ大正期なのでしょう。
大震災の発生やバブル景気後の長期不況など個々の事象が似ているというより、歴史の流れに類似性があると思います。幕末維新の「混乱期」、明治の「発展期」を過ごして大正は「安定期」。昭和以降は、太平洋戦争と戦後しばらくが混乱期、高度成長が発展期で、平成が安定期です。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら