ソ連外務省報道出版局には記者会見室がある。日本の首相官邸や外務省の会見室よりもはるかに大きく、300人くらい入る劇場のような造りだ。ゆったりした映画館のようないすが並んでいて、イヤホン用のジャックが付いている。そこにカセットテープレコーダー(当時はICレコーダーがなかった)をつないで録音する。
もっとも、その録音を聞いて文章を起こすと膨大な時間がかかる。外務省の報道官は紙を読み上げた後、質疑応答に移る。読み上げた内容は、その後ソ連国営タス通信で報道されるものもあれば、されないものもある。タス通信で報道する基準に関しては、ソ連政府が積極的に伝えたい内容については報道し、そうでないものについては報道しないというものだ。日本を含む西側の新聞やテレビが報じるニュースは、タス通信に載せられないもののほうが多い。
大使館員が記者会見の記録を作成する理由は2つある。
第1は、ソ連の内政や外交について分析するうえで重要な情報を外務本省に報告することだ。
この記事は有料会員限定です。
ログイン(会員の方はこちら)
有料会員登録
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら