文明|Interview|歴史学者 ユヴァル・ノア・ハラリ
テクノロジーによる混乱は世界の連携で乗り越えよ
2020年代に世界はどんな方向に進むのか。『サピエンス全史』で7万年にわたる壮大な人類史を、また『ホモ・デウス』で人類の未来像を描いたイスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ氏。現代を代表する知性に人類と世界の行方を聞いた。
──前著『ホモ・デウス』では、遺伝子工学やAI(人工知能)といったテクノロジーにより、「ごく一部のエリートが力を持つ結果、『無用者階級』が生まれ、かつてない格差社会が到来する」と警告しました。その視点を基に、20年代の世界をどう見ますか。
最も主張したい点は、世界が直面している問題の解決には、各国の協力が必要ということだ。人類は主に3つの課題と向き合っている。核戦争、環境破壊、テクノロジーによる混乱だ。これらの課題は事実上、すべての国々に関わりがある。1国だけでは解決できない。
日本を考えてみよう。日本政府が核戦争から国を守ろうとしても、単独では不可能だ。米国や韓国、インドといった多くの国々との連携が欠かせない。同様に、AIや遺伝子工学がもたらす破壊的な状況を人々が恐れても、単独国家の規制で対処することは不可能だ。
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