ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人社長やカルビー会長兼CEOとして経営再建を担い、「プロ経営者」として実績を上げてきた松本晃氏。現在はRIZAPグループ特別顧問に加え、中国系研究者らが創業し、建物などの冷却に用いる「放射冷却シート」を販売するラディクールジャパンの会長を務める。経営者として長く日本企業を見つめてきた松本氏は、2020年代の日本経済の課題をどう考えているのか。
──19年はどのような年だったと振り返りますか。
実に面白い年だったと思う。なぜなら日本が成長、停滞を繰り返した30年サイクルの節目に当たる年だったからだ。
日本は戦後、外交面では日米安保体制、内政では自民党を中心とする55年体制を確立し、1960年ごろから80年代後半まで、軍事小国、経済大国の路線をひた走った。その約30年間は経済が非常によく回っていた。
しかし89年11月9日から始まったベルリンの壁の崩壊を境に、世界ががらりと変わった。西と東の壁がなくなり、世界の秩序が混沌とした。それ以降、日本経済はずっと下降曲線をたどった。
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