半導体受託生産の圧倒的王者TSMCを取り巻く構図が変わり始めている。
台湾北西部に位置する新竹市。人口約40万人の中規模都市に世界有数の半導体産業の集積地、新竹科学工業園区(新竹サイエンスパーク)がある。同園区のほぼ中心には赤色の線を基調としたビルが立ち並ぶ。世界の半導体受託生産で約半分のシェアを握る台湾積体電路製造(TSMC)の本社や技術開発研究所だ。
回路線幅の微細化が性能向上につながる半導体製造技術で同社は世界最先端を突き進んでいる。現在、世界の最先端は米アップルのアイフォーンの最新機種にも使われている7ナノ(10億分の1)メートルの半導体だが、TSMCは来年にも5ナノ品の量産を開始する準備に入っている。台湾南部で建設中の新工場で生産が開始される見込みで、同社は量産に向けた設備投資や開発費を累計約2.5兆円投じたとみられる。さらに世界で唯一3ナノ品の開発も具体化させている。2019年末にも新竹で新工場の建設を始め、22年の量産開始を目指している。
本社に併設されているTSMCイノベーションミュージアム(台積創新館)では中国の通信機器大手ファーウェイの半導体設計子会社ハイシリコンや台湾の半導体大手メディアテックなど世界に名だたる半導体企業からのビデオメッセージが流されていた。いずれもTSMCの主要顧客。「TSMCはよきパートナー」「すばらしい技術を持っている」など賛辞が詰まったメッセージを来館者に公開するところに世界の半導体産業をリードする自負が垣間見える。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら