──日本の半導体メーカーはかつて世界を席巻しましたが、今や厳しい状況にあります。競争力をどう見ていますか。
1990年代以降に再編淘汰が進んだ結果、日本が高い競争力を持っている自動車や産業用機器会社などを顧客に持つ半導体メーカーが残るべくして残ったとみている。ルネサスのマイコン、東芝メモリのNAND型フラッシュメモリー、ソニーのCMOSイメージセンサー、そしてロームなどが手がけるパワー半導体の4分野だ。これらは製造工程が難しいことに加え、日本国内に顧客が多く、韓国や中国に投資体力だけで負ける領域ではない。しっかり磨けば、世界と勝負できるはずだ。
──ただ、ルネサスや東芝メモリは足元の業績悪化に苦しんでいます。
それでも構造改革には一定の成果があった。巨大な電機メーカーの一事業から独立したことで、機動的に経営判断ができるようになっている。ルネサスの場合、苦労して再建した後、1兆円近い買収をした。単なる部品の製造販売からソリューションプロバイダーへの転身に努めているためだ。足元こそ苦戦しているが、過去の弱みを克服して嵐を乗り越えた先に来ている。
──過去の弱みとは何でしょうか。
車載半導体では、欧米のメーカーが汎用品を量産して高い利益率を誇るのに対し、日本は顧客の自動車企業の要望に応じて、ほぼ同じ製品でも微妙にカスタマイズする必要があった。ゆえに量産効果が出ず、粗利が低くなる。日本の自動車産業の強みに「すり合わせ」があるが、すり合わせた結果、下請け構造の中で弱い立場の部品メーカーにシワ寄せがいった。元業界の人間として、自動車会社にも悪いところがあったと思う。
この記事は有料会員限定です
残り 827文字
