トランプ米政権の対中国政策の今後を占ううえで、重要な意味を持つかもしれない出来事が、この春にあった。「現在の危機に関する委員会:中国(CPDC)」の発足である。
冷戦史を知るものならドキッとするかもしれない。「現在の危機に関する委員会(CPD)」は1976年、カーター民主党政権の発足を前に生まれ、同政権のハト派路線に対し対ソ連(当時)強硬策を主張する、タカ派の在野政策立案グループだった。
4年後に共和党のレーガンが大統領に当選すると、この集団から30人以上大挙して政権入りし、安全保障担当大統領補佐官や中央情報局(CIA)長官といった要職を占め、タカ派政策を主導。結果的に冷戦終結に至ったことから、CPDは伝説的存在となった。
この70年代のCPDが有名すぎて、その陰に隠れてしまっているが、最初は冷戦初期の50年代に、また9.11テロ直後の2000年代初頭にも同委員会が結成され、政官界に圧力をかけ、タカ派政策を推進した。
しかし、何といっても70年代後半の委員会が圧倒的存在感を持つのは、ネオコン(新保守主義者)台頭の潮流に乗って生まれ、レーガン政権の外交安保政策を乗っ取っていったからだ。
今回、CPDが再発足したのは、その例に倣おうとするからなのは間違いない。さらに委員会の名に、あえて「中国」の名を冠したことで、米国の最大の「敵」はロシアではなく中国だということを鮮明にした。つまり、中国を敵として新たな冷戦を闘い、勝ち抜くという意思表明だといってよい。
発足時メンバーは40人ほどで、140人を超えた70年代の委員会に比べれば3分の1以下だが、バノン元首席戦略官やウールジー元CIA長官ら大物がそろっている。
公表されている「委員会の指針」は強硬だ。バノンは一昨年にトランプ政権を去った後、欧州では右派勢力を糾合し、アジアでは反中国勢力の結集を図りながら、主なる敵は中国であると公言してきた。その主張に近い。
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