日本郵船、次期社長が示した勝ち残りの覚悟 ”理想の社長像”に込めた重要な意味
日本郵船は12月25日、2015年4月1日付で内藤忠顕副社長(59)が社長に昇格する人事を発表した。工藤泰三社長(62)は会長に、宮原耕治会長(69)は相談役に就任する。
リーマンショック後の2009年に就任した工藤社長は在任期間を振り返り、「とても満足できるレベルではないが、自動車物流や海洋資源事業などを大きく育てる素地は作れ、優良可でいえば可の段階までは来たと思う」と述べた。
このタイミングで社長を退くことについて、「今後はリーダーに必要な誠意・創意・熱意の中でも、特に創意が必要になる。何より若さが必要であり、交代を決断した」(工藤社長)と説明した。次期社長の内藤氏は主に営業畑を歩きつつ、ドイツ現地法人の立ち上げなどに携わった経験を持つ。2009年からは経営企画部門を担当し、中期計画の立案も主導した。
リーマンショック後は2度の赤字転落
2014年度から始まった5カ年の中期計画では、全体で予定する7900億円の設備投資のうち7割近くをLNG輸送船と、海底油田向けドリル船、浮体式海洋石油ガス生産貯蔵施設などからなる海洋資源事業の強化に注ぐ。最終年度の2018年度の目標には、売上高2兆5000億円、純利益1200億円(2013年度は売上高2兆2372億円、純利益330億円)を掲げ、 ROE12%を目指すなど、資本効率の引き上げも急ぐ構えだ。
リーマンショック後、日本郵船の業績は実に浮き沈みが激しかった。2009年度に180億円(2008年度は1449億円の黒字)の営業赤字転落を強いられた後、10年度は米国向け輸出に支えられ、一気に1223億円の黒字転換を果たした。が、2011年度は東日本大震災、タイ洪水被害、欧州通貨危機と、相次ぐ逆風に見舞われ、再び赤字に沈んだ。
海運市況はなお低迷が続いているものの、自社船に加え、長期・短期用船で船腹を確保するライトアセット化を進める一方、積み荷は長期契約比率を増やすなど構造改革を進めたことで、2015年3月期に2期連続増収増益を狙う。
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