遺伝子治療薬「キムリア」の承認で日本に超高額薬の時代が到来する。薬剤費の膨脹、「オプジーボ騒動」の再現はないのか?
製薬大手のスイス・ノバルティスは3月26日、難治性の白血病・リンパ腫を対象とした新薬「キムリア」が日本国内で製造・販売承認を得たと発表した。
患者自身の細胞をCAR-T細胞(キメラ抗原受容体T細胞)に改変し、培養して患者に投与する。血液中のCAR-T細胞ががん細胞を攻撃、しかも攻撃の際の刺激によって自ら増殖していく。
小児および若年成人向けの白血病での臨床試験では、患者の約8割でがんの症状が見られなくなった。そのうえCAR-T細胞が自ら増殖するので、投与は1回だけ(単回投与)。希少がんに対する画期的な新薬といえる。
問題なのはその価格だ。米国では白血病向けで47.5万ドル(約5200万円)に及ぶ。日本では5月にも保険収載され、価格が決定する見通しだが、「超」高額となることが確実視されている。
米国では網膜疾患治療薬「ラクスターナ」が両目使用で85万ドル(約9350万円)など、超高額薬が続出している。承認間近の脊髄性筋萎縮症(SMA)治療薬「ゾルゲンスマ」は、100万ドルを超すとの説が有力だ。
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