網膜、病理検体、肝臓、喉…あらゆる画像を学習し、AI診断がいよいよ現実のものに。
グーグル|ITの巨人が医療に照準
米国シリコンバレーのグーグル本社では今、数百人の社員が医療分野を次のビッグビジネスにしようと技術開発に取り組む。とくに有望視するのが、AI(人工知能)による病気の診断だ。
インド南部の都市マドゥライにある大手眼科病院。グーグルは今年2月、ここに糖尿病網膜症のAI検査システムを導入し、同社として初めて医療AIの臨床実験を開始した。眼底カメラで網膜の画像を撮影し、画像認識AIが10秒ほどで病気の深刻度を判定する。このスクリーニングによって、治療の必要の有無が決まる。
糖尿病網膜症は糖尿病の合併症の1つで、網膜内の毛細血管が詰まったり、出血を起こしたりする。日本でも失明要因の上位に入る病気で、早期の発見が求められる。だが診断スキルのある眼科医が足りず、インドでも深刻化していた。
グーグルは2016年に糖尿病網膜症を診断するAIのアルゴリズムを論文発表。インドと米国で集められた約13万枚の網膜画像と、微細動脈瘤や出血の様子などを基にした54人の眼科医による診断を結び付け、ディープラーニングによって診断モデルを作り上げた。また網膜の毛細血管の状態から心臓疾患のリスクを予測するAIの開発も並行して進めている。
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