井上ひさし氏は、日本語をより深く習得するためには、日本語に似た言語に関心を広げることが重要であると述べる。
〈私たちは眼ですべてのものを見ています。けれども自分の眼だけは見ることができません。同じように、日本語で日本語を考えることも至難の業(わざ)のようです。自分のことを自分で考えるということは大変むずかしくて、これはイギリス人のバートランド・ラッセルという人が体系づけをしているくらいです。自分が属しているものを属している自分は見ることはできない、つまり日本語のことを日本語で考えても正確にはわからないということになります。
そこで学者たちはまず、日本語とよく似た構造の言葉を見つけだして、その言葉を徹底的に勉強しました。自分が属している言葉ではないので、徹底的に分析も観察もできるわけですね。その上で、その言葉の文法をきっちり整理し、次に日本語との共通点を探すことによって、逆に日本語の文法とはこういうものだということがわかるだろう──学者たちはそういうふうに考えました。
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