「米国一極支配」を唱えてきた保守論客クラウトハマーが逝った。米国は今、冷戦直後に論敵ブキャナンが説いた「米国第一主義」に転じている。
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1980年代からワシントン・ポスト紙などを舞台に活躍し、ピュリッツァー賞の受賞経験もある保守派コラムニスト、チャールズ・クラウトハマーが6月21日に亡くなった。
元精神科医の彼は、青年期に事故で脊髄を損傷し、車いす生活となったものの、言論界に転じて本領を発揮した。享年68歳。まだまだ書き続けられる年齢だった。
進行性がんで余命数週間の宣告を受けた後の6月8日、同紙に最後のコラムを寄せた。「このたぐいまれなる国民の行方を決める一助となる議論に、少しでも寄与できたことに感謝したい。悔いなくこの人生を去る」。
『ナショナル・レビュー』誌を創刊し(55年)、戦後保守論壇を創設したウィリアム・バックリー・ジュニアが亡くなったのがちょうど10年前。書斎でコラムを書きかけたまま机に伏し、言論人として壮絶な死を遂げた。クラウトハマーの死にも似たところがある。
オバマが大統領選で初当選した年に死去したバックリー同様に、ネオコンの代表的論客クラウトハマーがトランプ政権下で死去したことも、時代の終わりを感じさせる。
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