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米国第一主義時代の到来 保守論客の死が象徴する

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「米国一極支配」を唱えてきた保守論客クラウトハマーが逝った。米国は今、冷戦直後に論敵ブキャナンが説いた「米国第一主義」に転じている。

トランプ米大統領とうり二つの主張を行ったブキャナンの思想が今、よみがえる。写真は1992年(AP/アフロ)

1980年代からワシントン・ポスト紙などを舞台に活躍し、ピュリッツァー賞の受賞経験もある保守派コラムニスト、チャールズ・クラウトハマーが6月21日に亡くなった。

元精神科医の彼は、青年期に事故で脊髄を損傷し、車いす生活となったものの、言論界に転じて本領を発揮した。享年68歳。まだまだ書き続けられる年齢だった。

進行性がんで余命数週間の宣告を受けた後の6月8日、同紙に最後のコラムを寄せた。「このたぐいまれなる国民の行方を決める一助となる議論に、少しでも寄与できたことに感謝したい。悔いなくこの人生を去る」。

『ナショナル・レビュー』誌を創刊し(55年)、戦後保守論壇を創設したウィリアム・バックリー・ジュニアが亡くなったのがちょうど10年前。書斎でコラムを書きかけたまま机に伏し、言論人として壮絶な死を遂げた。クラウトハマーの死にも似たところがある。

オバマが大統領選で初当選した年に死去したバックリー同様に、ネオコンの代表的論客クラウトハマーがトランプ政権下で死去したことも、時代の終わりを感じさせる。

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