「需要の山と谷は消えた」との声も浮上。異次元に突入した業界の最前線を追う。
6月初旬、都内で行われた半導体の業界団体・SEMIジャパンの懇親会。半導体関連メーカーの首脳陣が集まった会場は、業界の好調さを表すように明るい雰囲気に包まれていた。
「不安な要素は何もない」「すでに2020年以降の需要に対する準備を始めている」。かつての半導体不況がうそのように、各社からは楽観的な声が聞こえてくる。
半導体業界はこれまで、3~5年で好不況を繰り返す「シリコンサイクル」に悩まされてきた。技術革新のスピードが速いため、一時的な好況はあってもすぐに供給過剰となり、各社の業績は周期的に落ち込んでいた。
しかし、今回の好調はこれまでと異なるようだ。需要の力強さから、今後10年間を見据えた中期経営計画を発表する企業も出現。好況期の長さは通常のレベルを超えているという「スーパーサイクル」論も飛び出している。
強気見通しの根拠は「データ時代」の到来
半導体関連各社がここまで強気になれる背景には、業界自体の構造変化がある。
これまで半導体の需要はパソコンやスマートフォンなど特定の製品に依存してきたが、今後の主役は端末がネットに接続して生まれるデータそのものだ。
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